December 27, 2008

世界金融危機

2008年は間もなく幕を閉じる。残念ながら、世界金融危機(global financial crisis)は中々そうはせずに発展し続けていく見通し。金融危機は実体経済に波及し、日米欧だけではなく、世界は同時に不況に突入。

1年前に想像もつかなかった大混乱が政界の金融市場を襲っている。アメリカの住宅バブル崩壊(collapse of housing bubble)に端を発した危機は「100年に1度」(グリーンスパン前米連邦準備制度理事会議長)と呼ばれ、恐慌守前に発展。投資銀行(investment bank)業務で高収益を上げていた5社のうち3社が破綻・身売りで姿を消した。

「リーマン・ブラザーズに公的資金を投入する計画はない」。ポールソン財務長官の言葉に居並んだ米金融業界首脳は顔色を失った。創業150年の証券大手リーマンは915日に破綻した。

直前まで「リーマンは救済される」という意見が市場の見方だった。FRBは、3月には経営困難に直撃している米大手証券ベア・スタンズに緊急融資、JPモルガンチェーズへの身売りで決着させた。97日には米政府系住宅金融2社(ファニーメイ・フレッディマック)への公的資金投入も決めていた。

米証券大手メリルリンチは米銀行大手バンク・オブ・アメリカへの身売りに走りなど、金融市場はパニックに陥った。混乱を見てFRBは方針を転換、916日には米保険最大大手AIGを救済した。だが、リーマンを破綻させたことで、危機は欧州に飛び火。アイスランドやハンガリーが相次いで国際通貨基金(IMF)に支援を呼んだ。

ブッシュ米大統領は総額7000億ドルの公的資金で金融機関の不良資産を買い取る金融安定化法案を提出したが、下院は9月末にこれを否決、市場の動揺を加速した。その結果、米株価は4年ぶりに1万ドルを割り、一時は7000ドル台に値下がった。また日経平均株価は26年ぶりに7000円を落ち込んだ。その他の国々も同様に金融危機のせいで悪影響に襲われた。

市場に迫られる形で10月の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は金融機関への資本注入で合意。11月には新興国も含めた主要20カ国・地域(G20)の世界金融サミット(world summit)が開催された。金融市場への規制強化を明記する首脳宣言をまとめ、米国流の市場原理主義の転換迫られることを印象付けた。

中央銀行は利下げに乗り出して、FRBは史上初の事実上ゼロ金利(0~0.25%)と量的緩和政策(monetary easing)を導入。

日銀も10月末、約77か月ぶりに利下げ、12月には政策金利を0.3%から0.1%まで引き下げた。だが、市場は依然不安定で、金融機関の損失拡大が続く。ドル売り円買いも根強く、円相場は12月に一時、13年ぶりの1ドル=87円台に直撃。

スペシャリストによれば、世界金融危機は来年度の第2半期までも続くという。一方、2010年度までには世界経済が回復できないという見通しも強まった。

(参考文献:毎日新聞、金融危機、平成20年12月23日)

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